内科系学会社会保険連合 第109回例会議事録

[平成23年10月31日(月曜)17時30分:東海大学校友会館]  

 議 長    工藤副代表
 挨 拶    齊藤代表
 [議 題]
 1.新入会の件

   @日本心電学会
   A日本ハイパーサーミア学会
   B日本生殖医学会
   C日本眼科学会
 2.平成24年度診療報酬改定提案書の件 (内保連会議資料提案書 資料 2-1)
 3.特定内科診療の件  
   @特定内科診療二次アンケート調査〜 (資料3-1)   
   A対象疾患通し番号 (資料3-2)
   B内科特定診療(仮称)二次調査についてのお願い (資料3-3)
   C特定内科診療二次調査票記載見本〜 (資料3-4)
   D資料2:内科技術評価中間報告 (資料3-5)
 4.平成23年度全社連共同研究「診療報酬における医療技術の評価」報告書 (配布冊子参照)
 5.生体検査に関する提言 
   @生体検査に関する提言 (資料5-1)
   A生体検査提言図表(表1〜表4を使用) (資料5-2)
 6.今後の活動について
 8.次回(第110回)例会開催日
  
平成24年1月24日(火)17時30分;東海大学校友会館
 
 ********************************************
 【講 演】
   演 題:内科系医師の技術評価について(技術評価の概念と中間解析の解説)
   演 者:田倉智之
        (大阪大学大学院医学系研究科医療経済産業政策学Prof.Ph.D.)


工藤翔二副代表

 只今から内保連の第109回例会を始めます。私,本日の議長を務めさせていただきます副代表の工藤です。
 それでは,最初に齊藤代表から,ご挨拶をいただきます。よろしくお願いいたします。

齊藤寿一代表

 本日は,たいへんお忙しいところ,第109回の内保連例会にお集まりくださり,ありがとうございます。

 ご承知のように,国民皆保険制度が日本に定着して,ちょうど今年で50年 半世紀が経ちます。これは,全国各地に国民健康保険の制度が定着した時であって,それ以後,国民皆保険制度は,国民の健康寿命の延長であるとか,新生児死亡率の抑制であるとか,世界的に見ても,たいへん評価されてきた素晴らしい制度と,一言で言えるものです。そして,その中身を支えてきたのが診療報酬のあり方であって,私たち内保連,あるいは外保連の方々のそれぞれの努力が,診療報酬点数表をもとにした新たな診療報酬の要望を繰り返すことによって,順次高め,ブラッシュアップされてきたと言って良いと思います。

 ご承知のように平成24年度の改定は,6年に1度の保険と介護の同時改定ということで注目されておりますし,これは内保連として,ここ23年特に重視しておりますが,医療の技術というものをどのように診療報酬に反映させるべきかということが,色々な角度から注目されていると言って差し支えないと思います。ごく最近も雑誌の座談会で,診療報酬における医療技術の反映ということが取り上げられております。私たち内保連としても,新しい検査とか,あるいは新しい検体検査,あるいは色々な処置などと加えて,ぜひとも内科系の技術を診療報酬に反映させていく努力を,色々な角度から進めていかなければいけないと思っております。

 それについて外保連と対比して考えますと,外保連は,国民皆保険制度発足の50年前から,第10部手術料というものを聖域としてしっかり持っております。そこで虫垂切除術があったり,色々な手術が全部リストアップされ,現在色々な試案を出しておられますが,それは,それを手直ししているにすぎない状況です。

 それに対して私たち内保連の活動は,今日も色々なご説明がありますが,内科系の技術を受け止める受け皿が,医科診療報酬点数表の中にほとんど見つかりません。それはまるで,ちょっと言葉は卑俗なのですが,ホームレスのような家を持たない人たちが,実質的には非常に重要な活動をしているという,そういう現状だろうと思います。

これは一朝一夕にできることではありませんが,どういう切り口で,どういうふうに工夫しながら,内科系の技術を診療報酬に反映させていくか。アメリカなどでは,RBRVSということで,すでにもう10年以上前から定着しておりますから,ぜひとも日本でも,これから一歩々々積み上げていきたいと,強く考えている次第であります。また,そういうことを念頭に置きながら,例年の改定に見合ったような形の内保連としての活動も併せて行っていかなければならない状況です。本日はよろしくお願いいたします。

工藤

それでは早速,議題に入ります。今日は,その他も含めて7つありますので,ご協力をよろしくお願いします。

1議案 新入会の件 

 現在4学会から入会の申し入れが来ておりますので,この提案について齊藤代表から,ご説明をいただきます。

齊藤

 過日開催されました運営会議で,今回入会申請のあった日本心電学会・日本ハイパーサーミア学会,日本生殖医学会,日本眼科学会を本例会に諮ることが決定されました。

日本心電学会です。

設立は1983年ですから,大変長く経過している学会で,会員数は2,600,かなり専門性の高い方々が,臨床不整脈であるとか,基礎心臓電気生理といったことに取り組んでおられる臨床系の学会です。学術集会は年1回,学会誌は年5回発行し,保険委員会もあります。これまでも色々診療報酬に要望を出しておりますが,内保連に加盟する理由としては,心電学ということで,心電図学と心臓電気生理学という2つの領域をカバーするということですが,広く内科学の発展を目指した活動を行っていきたい。その中でも特に,診療報酬のあり方についても妥当な姿を探るため,学会としての意見を発信し,あるいは皆さまの判断に資していきたいというご意見です。

日本ハイパーサーミア学会です。

学会設立は1984年で,この学会もかなり長い歴史をお持ちです。温熱を用いたガンの治療というのは,確かに私ども,歴史的に古くから目にしております。非常に広く普及して有効性が支持されているわけではありませんが,疾病によっては第1選択になり得る局面がある治療法というふうに理解しております。会員数が614名で,学術集会の開催が年1回,学会誌の発行が年4回で,保険委員会を行っています。日本ハイパーサーミア学会の健保保険点数改定委員会が,学会開催期間中に委員会を開催して,それをどのように反映させるかを検討しているということで,内保連に加盟する理由としては,ハイパーサーミアも腫瘍によって,あるいは領域によって,非常に重要な治療的効果を持つ,非侵襲的なガンの治療法であるということで,その領域を内保連の活動にぜひ反映させていきたいという考えであります。大きな学会というわけではありませんが,特異なガンの治療法を目指し,領域によっては,古くからその有効性が認識されている治療法の専門学会であると言えると思います。

 日本生殖医学会です。

設立が1956年ですから,大変歴史のある学会で,会員数も4,447名と多く,学術集会は年1回,学会誌発行は年4回で,保険委員会も置かれているということであります。生殖医学ということで,産婦人科学あるいは泌尿器科学など,外保連にまたがる活動も一部ではあるわけですが,内保連に期待する点では,ホルモン検査とか各種の生化学的検査その他が,これらの学会の臨床的活動に不可欠であって,ぜひ内保連を通じて,これらの研究領域あるいは臨床領域を普及させていきたいという思いを示しておられます。そういうことで,泌尿器科あるいは産婦人科という,従来の一般的な分類では,外科に関わるような領域ではありますが,中身を見ると,かなり内科にも深く関わっているということです。

 日本眼科学会はすでに財団法人となっております。学会の設立年月日は明治30年ということですから,居並ぶ学会の中でも,ずば抜けて長い歴史を持っておられます。会員数は1,4000名を越えるということで,大変大きな学会であります。学会誌は年13回発行しておられ,学術集会は年1回行っております。保険委員会も置かれ,さまざまな診療報酬の適正化についての活動をしておられます。

 なお,日本眼科学会の申請については,前回も運営会議に出され,少し慎重に検討しようということでした。一言で言いますと,学会の内科系あるいは外科系という区分けが最近,非常に連続的になってきている部分があります。眼科は一般的に言いますと,外科系に区分されますが,実際は,糖尿病網膜症,糖尿病性の白内障もありますし,シェーグレン症候群とか,サルコイドーシスとか,目から始まる内科疾患も決して少なくないわけです。そういうことですと,眼科というものを,これは内科ではないと除けていくこと自身に,やはり発想の転換が必要ではないだろうかということが,過日の運営会議での意見でした。

今後,内科系の先生方の抱えておられる色々な眼科的な問題についても,適切なご助言をこの学会からむしろ発信していただいて,適切な診療報酬改定への要望を発信していくことができるとすれば,日本眼科学会にも内保連に加盟していただくことが妥当ではないだろうか。これについては,約1年程度かけた慎重な検討の結果,運営会議での結論となったわけですが,この件について,何かご意見はありませんか。

 本日の例会で4学会について全員の承認が得られましたので,加盟が承認されました。加盟学会数は116学会です。

工藤

 なお,会費の件ですが,本日は1031日ということで,内保連の会計年度は,1月1日に始まって1231日で終わる形になっておりますから,平成23年度も2ヵ月で終了ですので,この4学会についての会費は,平成24年度からいただくことにしたいと思いますが,ご異議はございませんか。
 ありがとうございました。

2議案 平成24年度診療報酬改定提案書の件

  (内保連会議資料提案書 資料 2-1)

資料の6頁からです。齊藤代表から,ご説明いただきます。

齊藤

 平成24年度診療報酬改定の提案書の作成・提出につきましては,各学会,保険委員の先生方,本当に大変なお骨折りをいただき,感謝しております。

 すでにお手元に届いていると思いますが,かつてないほど大分な診療報酬の改定要望書ができて,容易に持ち歩くこともできないような分厚いものになっております。昔は電話帳なんていうものも厚いものでしたが,いまはそれも無くなったので,百科事典も電話帳も無い世の中だと,非常に持ちにくいくらいの大きなものですが,そのように大きくなった理由のひとつは,厚生労働省が概要版について,わかりやすい模式図だとか,図だとか,

写真とか,そういうものを入れて,医師以外の中医協委員──1号側であるとか,3号側であるとか,そういう方々に理解してもらえるようにという特別な要望があり,それを各学会でも工夫していただいた結果であります。ご承知のように,私あるいは工藤副代表も,できる限り各学会から直接,一押しの点を聞かせていただきました。それを踏まえて,とりまとめの前文等も作らせていただきました。

 提出の状況ですが,まず学会数ですが,これについては書き方が違いますが,2008年は47学会で,2010年は60学会でした。24年度改定については,82学会ということで,476082と,提出学会数がたいへん高くなってきております。

 それから,未収載についての提案数は,2008年が162で,2010年が143,今回は181と,やはり未収載についても要望の提出数がかなり増えており,できるだけこれが最終的な診療報酬改定の点数表に盛り込まれるように,関係者鋭意努力しているところです。

 ちなみに採択率は,2008年度改定が11%,2010年度が19.6%で,決して高いとは言えませんが,20%をできるだけ上回る形で最終的な決着がつけばと,そのように考えております。

 今回は,学会のヒアリングも厚生労働省で行われ,多くの学会がこれに応じられたと思いますし,内保連としても厚生労働省のヒアリングを受けました。これだけたくさんの既収載と未収載を合わせますと583件ということで,内保連としては,色分けや順位づけをすることは,もとよりできないことなのでありますが,私たちの姿勢として今後,内保連の活動で特に重視していただきたいのは,色々な医療に関わる技術です。ですから,ただ高額の機器を使うからとか,もちろんそういうことも大事ではありますが,医者の行う診察行為,あるいは医者が手をくだした検査行為,そういったものをできるだけ評価するような形であって欲しいと思っております。

 その中のひとつを申し上げれば,例えば,ヘッドアップティルト試験というのがあります。これは,日本自律神経学会とか,日本循環器学会とか,それから日本神経学会からの提出ですが,斜台の上に頭を上にして行うと血圧が下がるというようなことを調査します。これについては,欧米の論文などを見ますと,非常にコモンに出てくるものですし,内保連の多くの学会が過去4年間くらい繰り返し出しておりますが,そんなにお金のかかる検査でもないのに,なぜか通りません。そこで,そういうものをぜひ重視してほしいというような要望を出しました。

 それから,内科系技術で評価された数少ない処置の手技の中に神経学的検査があります。これは,すでに検査の部分に入っておりますが,点数が少ないということで,これだけ既収載ではありますが,神経学的な検査をぜひ見直して点数を発布してほしいということです。

その他,時間内歩行試験というのは,6分間にどのくらい歩けるかという,これも非常に人の生理に立脚した基本的な診察手技のひとつであって,そういうものをしっかり保険収載することが大事だろうということです。これについても日本呼吸器学会をはじめ多くの学会が繰り返し出しておられながら通っていなかったものであり,例えば,そういうような若干めりはりのついたものをピックアップして,強調させていただいたという側面はあります。お手元にお送りした分厚い本の中に,そういったものが数項目書いてありますが,もちろん他の五百数十項目も,いま慎重に検討が進められているところです。

工藤

 平成24年度の診療報酬改定の提案書は,もうすでに提出しており,その中身についてのご説明をいただきましたが,何かご質問等はございますか。

 

3議案 特定内科診療の件

   @特定内科診療二次アンケート調査〜 (資料3-1)   
   A対象疾患通し番号 (資料3-2)
   B内科特定診療(仮称)二次調査についてのお願い (資料3-3)
   C特定内科診療二次調査票記載見本〜 (資料3-4)
   D資料2:内科技術評価中間報告 (資料3-5)

 特定内科診療の件ですが,先ほど齊藤代表も言われましたように,内科系の技術の受け皿をきちっと作る必要があるだろうということで,外科系の第10部手術料に匹敵するようなひとつの枠組を作りたいという願いから,特定内科診療ということが提案され,この1年ほどの間,ずっとその作業を先生方と共にやってきました。これについて小林副代表と,専門的な立場からアドバイスをいただいております田倉先生から,ご説明をいただきます。小林先生,お願いします。

小林弘祐副代表

 ワーキンググループの小林です。資料の7頁目に基づいて,概要を解説いたします。まず,解説に先立ちまして,最終的に延べ764名の先生方が調査票にご記入いただき,回収させていただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。

 まず,経緯をお話しいたします。先ほど齊藤代表がお話しされたように,特定内科診療をひとつの独立した部として認めていただけないかということで,このワーキンググループが発足いたしました。まずは急性期の重症疾患を,誰がみても内科の技術が必要で,しかも大変だという対象疾患を選ぼうということで,各領域,各学会にお願いして,最終的な重複を整理した後で,62疾患があげられました。それを330日の領域別委員会で,最終的に皆さんのコンセンサスを得て,28疾患に絞り込みをさせていただきました。その後4月25日に,特定内科診療のもうちょっと詳しい2次アンケート調査票を添付資料でお示しいたしましたが,それを発送し,最終的な締め切りを516日に設定いたしましたが,1疾患の調査票が揃いませんで,最終的に27疾患の調査票が内保連の事務局から送られてきたのが10月8日でした。現在それをもとにしてデータ解析中です。

けれども,いま現在,欠損値の有無が結構あり,最終的にもう一度お願いしたのもいくつかあります。97例では大事な回答部分が抜けておりました。それから,回答レベル,内容のチェック等,アウトライヤーもいくつかまだ残っておりますので,それを調査する予定にしております。それから,報酬の妥当性の検証に用いる総合負荷と行為や指標との相関関係については,後ほど田倉先生からお話があると思いますが,最終的に合意形成の会議が,そのうち必要になるかと考えております。いまは中間報告に向けて努力しておりますが,最終的な報告としては,基準行為の現状を評価して,理想と現実の乖離を検証いたします。行為遂行で必要とされた資格─専門医とかその他の資格があると思いますが,それから時間や人数からのコストを推計して再評価し,施設基準を整理することを考えております。

このように随分遅れてしまった問題点を整理いたしますと,まず,内保連事務局が日本内科学会の中に所属しているという関係もあり,今年は震災の影響もあって,色々な行事が夏以降に重なってしまい,日本内科学会がとても忙しいということで,なかなか時間が割けないという事情もありました。これについては,内保連の事務局が独立していない,それに専属している人がいないことも,ひとつ問題かと感じました。

 さらに,いちばん大事な総合負荷について,なぜか記載漏れが多くて,アンケートを再度お願いしたものもありました。これについて色々検討してみましたが,後でお見せしますが,少し見にくいところにあったので,今後はウェブ入力など,紙媒体ではなくて,そういった形で欠損データがあったらアラートが出るようなシステムを構築していきたいと考えております。

 さらに,入院での保険収載を念頭に置いておりましたが,現状は外来でほとんど決めて,入院ではそれほど負荷がないような書き方になっている病態も,いくつか散見されました。さらに病態の詳細を書いていただきましたが,DPCのデータを裏づけデータとして使用する計画でしたが,DPCの定義表にはない処置・重症度を新たに書き加えた病態の調査票が散見されました。この点については後で修正は可能かと思います。

 さらに,実際に行ってみたところ,内保連の意思の伝わり方が,領域別委員会を中心に行ってきたわけですが,なかなか領域別委員会でカバーできないような学会もあることがわかってきまして,そういう学会との意思疎通が難しいという問題点も感じました。

1026日の領域別運営委員会でいろいろご意見をいただきましたが,全体のコントロールとなるような,誰でもある程度,経験しているような疾患についても,同様のアンケートを行うべきではないかというご批判をいただきました。実は当初はそのような予定になっておりましたが,日程的な関係から少し難しいということで,コントロールは後ほどのエキスパートメンバーで摺り合わせをしようという計画にしておりました。今後は,コントロールも含めて少し正攻法で考えてみたいと思います。

さらに,各病態の内容について色々浮き彫りになってくるとともに,各領域のその病態の責任の方と一度,ヒアリングという言葉が良いかどうかはわかりませんが,直接お会いして,内容を確認する必要があるかと思いました。

 添付資料には,対象疾患の28症例が記載されております。実際にやってみていくつか問題があったのは,2の化膿性髄膜炎と25の脳脊髄の感染を伴う炎症について重複してしまう部分があり,これを区分けするのに少し時間がかかりました。

 なお,特定内科診療の依頼文書が10頁目にあります。これは,先だって皆さんのお手元に配布されているものです。

それから,11頁からの「調査の概要について」の中で,「市中肺炎(軽中等症)」の事例について記載しております。17頁の設問が大事な設問でしたが,場所が少々目立ちにくいところもあって,97例くらいの記載漏れがありましたが,最終的に回収はしております。

本日,別表の基本統計というものが,当日配布という形で皆さんに,少し長い紙が配られておりますが,ここに実際の病態の1から28,病態15だけは除けておりますが,それぞれの回収数を記載しております。延べ764で,多いところでは,病態1360,少ないところでも12例の回収がございました。

 いくつかちょっと見てみます。病態20の先天性ネフローゼについては,下の3分の1くらいのところに,時間,頻度,オンコール待機ということで,これについて,例えばオンコール待機が6,000時間とか,週末待機時間が2,300時間と,やや他に比べて突出して長い部分もあり,現状はそうだと思いますが,急性か慢性かちょっと紛らわしいというか,悩ましいところもありました。

 非常に申し訳ありませんが,実は,平均値と標準偏差の表も別にありましたが,残りの大事な平均値と標準値が無くなってしまいました。後ほど議事録と一緒お送りいたします。私の概略は以上です。後は田倉先生に,今後の解析方針について説明させていただきたいと思います。

工藤

 引き続いてご質問を受ける前に,田倉先生から,これを捕捉してと申しますか,少し専門的な立場から,いまの状況について解説をいただきます。

田倉智之(大阪大学)

 大阪大学の田倉と申します。今回の事業について末席でご支援申し上げておりますので,その立場から,少しご説明をさせていただきます。そもそも技術評価,特にドクターズフィーをどのように評価していくべきか,ということは非常に悩ましいテーマですが,この概念を簡単にお話しさせていただき,なぜいま難易度について調査を進めているのかということを,皆さま方と共有させていただきたいと思っております。

 こちらに簡単な評価の指標を持ってきております。一般的に,ドクターのいわゆる価値,技術料を評価する時には,3つの指標があり,基本の一つに,いま調査が行われている難しさ―難易度というものがあります。これは,専門家が提供するものを専門家自身として,どれがいちばん難しいのか,どれくらい難しいのかということを,説明するものになります。

ただし,その他にも2つ評価の方法があります。その一つが,いわゆる,よく議論されるコストということで,これだけのお金がかかっているので,診療報酬としてはこれだけ認めてくださいと説明するものです。具体的には,その原価を調査するということで,きょうも多分,最後のほうでそのようなお話しがあると推察しております。

もうひとつ,近年,テーマとして注目されているものに,アウトカムというものがあります。これは,まさにエンドポイント,例えば遠隔成績としての患者さんの生命予後,もしくは健康がどれだけ変わったのかとか,そのような指標をもとに,患者さんもしくは国民自身にとっての意義,例えば自分たちにとってどれが診療として価値があるのかというものを定量化していくという方法です。このようなものについては,最近,グローバルスタンダードの指標で出てきており,データを作るのは大変ですが,行政としても,これらの指標,特にアウトカム系の評価に基づく要望を出してもらいたいと考えていると推察しております。

以上のように,先生方のドクターズフィーを評価するためには3つのアプローチがあるということになります。ただ,どれがいちばん良いというわけではなくて,それぞれ長所と短所がありますので,3つを統合して論じることが必要になるのですが,今回はとりあえず,スタートラインに立つということで,海外でも行われているように,まずは提供者側─先生方が考える難しさ,プラス,今回は技術料のところですから,人件費というところでのコストをきちっと数字にして,世に知らしめていくことを,いまお手伝いさせていただいております。

 実際このようなやり方については,先ほども少し説明がありましたが,アメリカではRBRVSという方式で数字を作っています。以前も講演で少しお話しをさせていただきましたが,簡単な概念としては,例えば外来の初診の感染症というか,風邪の患者さんを1とした場合,手術の虫垂炎がどれくらいの負荷,手間,難易度,難しさなのかという,いわゆる相対評価(リラティブ・ウエイト)を作って,多少乱暴に申し上げると,何倍という数字を提供者側としてラベリングすることになります。さらに,「CF」という係数が重要なのですが,先ほどの倍数にこの経済単価の係数をかけて経済価値(貨幣価値換算)に変えています。逆に言うと,何倍難しいというお話しをされても,それは具体的な診療報酬とか,貨幣価値に換算というか,点数の検討を直接論じることができないので,なにがしかのやり方,現実の世界の単位を持ってきて,何円とか何点に変えるという方法が必要になるということであります。

 アメリカの先生方も,AMAの方々も,この辺は非常に悩まれ随分と議論をしていたようですが,この単位を医療資源消費,簡単に言えばコストで説明することになりました。特にドクターズフィーに関しては,ドクターの人件費,プラス,技術提供に必要な周辺の費用というものを組み入れて,先ほどのCFというドル換算の係数を作っており,比較的,行為の独立性が高い手術の場合は,これで数字が算定されています。ここ20年ほど,アメリカではこの考え方に基づいて支払いが行われていることは,先生方もご存じの通りだと思います。しかし,内科診療の場合は非常に症例が複雑で,外科のようにKコード別に一つ一つ,このような難易度といわゆる単価表のようなものを作っていくのは難しいようです。アメリカの先生方も結局のところ,内科系の,特に初再診のところは,15分とか30分とか60分で区分して,定型報酬にしております。なぜなら,後で簡単にご説明しますが,難易度と時間というのは正の相関の関係になっているので,それだけ時間がかかっているのであれば,それだけ複雑な症例を診ていることになり,ひいてはそれだけ費用もかかっているから,それに見合う診療報酬をつけていきましょう,という話しになったということです。

 ただ,一点だけ,これはもしかすると先生方からお叱りを受けるかも知れませんが,海外でこういう合意形成ができたのは,専門医というスペシャリティーの区分が,きちんとなされていることが挙げられます。簡単に言うと,きちんとした資格がありレベルを担保された医師が,ある程度の難しい症例を診て,標準的にこれだけかかるものについてはやはり,これだけお金を払いましょうという合意形成が,第三者にも説明しやすかったわけです。しかし日本の場合,専門医制度については少し議論やグレーゾーンがありますので,アメリカと同じようなやり方ですぐこういうことができるかどうかは,多面的に検討を行う必要があるということです。

非常に乱暴な説明ではありますが,研修医や若手の医師だと時間がかかってしまうものと,非常に経験豊かな先生,スペシャリティーの専門医の先生だと非常に短く診られるというケースに対して,医師側の専門性の違いみたいなものを前提に整理を行うことが可能であったようです。つまり,複雑で大変な症例は,ある一定の高いレベルの専門の先生が診ることがルールで決まっていると,その先生が診たときの何分という数字の説明は,支払側に非常にわかりやすいということです。一方,そこの線引きができていない状況だと,医療経済的な実態分析の結果を適切に解釈することは不可能ではないかと考えられます。そのため,現在のところ,実際の初診または再診については,加算による補正があったとしても,基本的に1つの診療報酬点数の設定しかないというのも,このような背景が影響を与えているのかも知れないと考えています。

 以前,茅野副代表などが中心となって,同じような内科系の技術評価をされた時のデータがこちらです。今回も皆様に答えていただいている総合負荷と,いわゆる直接時間−どれだけ実際に時間がかかるのかというものについて,244の技術,病態について当時調べられましたが,負荷と時間は基本的に相関していました。そこで,報酬の考え方としては,総合負荷自体で直接的に診療報酬の点数とか経済の議論ができない場合は,時間が実際に現実の世界にある数字なので,これをベースに数字を作っていくというやり方が,基本的に考えられるというわけです。つまり,総合負荷はなにがしかの方法で経済価値に変える必要がありますが,その時に,ドクターズフィーは特に時間という概念がわかりやすいということで,時間に代替し説明を行う方法論が選択され傾向にあります。

 ということで今回,この概念を踏襲して進めせていただいておりますが,先ほどお話をした通り,これは海外で行われているやり方と全く同じです。基本的には,総合負荷,提供する難易度に,なにがしかの経済単価を掛けて診療報酬の検討につなげていくことになります。ただし日本の場合は,経済単価については留意が必要になります。この単価の中心になるのは,人件費単価またはそれに類似したデータになりますので,実際の人件費単価が非常に低いと言われている我が国においては,先生方が希望されている価値というか,数字にはなかなかならないというジレンマを抱えています。すなわち,人件費単価をどうやって上げるのかというのが,技術評価のいちばんのポイントだと思っております。要は,実際にかかった時間と人件費単価を掛けるだけであれば,現状の先生方が不満に思っている給与体系以上の報酬は確立できないと思われます。

 ということで,今回の調査の中でも,そもそも狙いは何なのか明確にしておく必要があると考えています。それは,2つあると推察しています。内科の臨床医が提供される技術は,非常に幅広で多種多様になりますが,これを第三者の外の人間が理解できるように明瞭化をするとともに,適切な報酬単価を設定するために,診療のエキスを反映した経済単価を議論(改善させる)することが目的となります。そのため,今回の調査では時間あたりの負荷を計算し,それにそって経済単価,すなわち時間単価を上げることができないか模索をしています。総合負荷と直接時間の割合を利用して,1分あたり,もしくは1時間あたりの総合負荷が非常に大きい,その濃密さを数字で説明できることを目指しています。

 そのためにまず,トータルの総合負荷に,色々な先生方が考えられている提供する時の難しさとか,難易度みたいなエキスが全部入っているかどうかを,最初に確認しなければいけないということで,今回も5つの負荷特性を尋ねております。身体,精神,技術,知識,あと時間を並行して測定しています。ちなみに時間というのは,直接時間ではなくて,あくまでも拘束の負担という意味です。この5つが総合負荷にちゃんと反映されているかどうかを,いま回答していただいたデータを分析しているところです。後でそれをお示ししますが,それに加え,先ほどから申し上げている通り,低い水準にある単価を上げるために,1時間もしくは1分あたりの総合負荷が非常に大きいという数字を作っていくことも進めています。最後に,ちょっと次元が異なりますが,1入院期間で提供や介入されている色々な診療行為,これらの診療行為の個別の負荷が,総合負荷とどのような関係になるのか,もしかするとそれは独立して評価すべきものなのか,または包括で評価すべきなのかというものを整理できるような解析もしております。

最初に,総合負荷に個別の負荷特性が反映されているかどうかのチェックを行った解析結果をお見せいたします。簡単にお話しをさせていただきます。文字が小さくて申し訳ありませんが,横軸に病態が28あり,その28病態を羅列して,縦軸に調査票の設問3の身体負荷と精神負荷と手技負荷と判断負荷,知識負荷と時間拘束を示します。全体の総合負荷にこの5つのエレメントが,それぞれどのくらい関係(貢献)をしており,逆に総合負荷に反映されていないかということをチェックしております。「*」はいわゆるP値,有意水準で,マークがあるということは,相関があり総合評価に含まれているので,総合評価だけで議論しても良いものです。逆に,相関がなければ,総合負荷に反映されていない可能性があるため,その要素は別にきちっと拾い上げて,どれだけ総合負荷にアドオンするべきか補正を行う議論をしないと,そのエキスが抜けてしまうということであります。

 ご覧頂けるとわかると通り,総合負荷と負荷特性の間に相関があるものからないものまで色々あります。表の解釈にあたり,総合負荷との関係がなくて,かつ個別の負荷特性の負荷が全体の総合負荷よりも大きいものに着目してください。そのようなケースは,総合負荷だけで議論を進めてしまうと技術評価において問題があるということです。そのような条件のものを「●」としてピックアップすると,多くの領域や病態にまたがっていることが理解できます。結果として,知識と判断と精神の負荷特性に係わるものが,比較的多かったようです。なお,時間拘束については経済単価を算出する時間分析に反映されるので,今回はあまり注意しなくて良いと思います。

 例えば,小児の腎ネフローゼ症候群などについては,全体の総合負荷と負荷特性の間にほとんど関係が無く,なおかつ負荷特性の身体や精神などの多くの値は,総合負荷よりも大きいということで,総合負荷のみで評価することに問題があると考えられます。つまり,今後,出てきた総合負荷の数字を,ただ単にその数字を計算するだけではなくて,個別の負荷特性の要素を評価して,補正をしなければならないと考えております。それを今後,先生方にご指導いただきながら,共に進めていきたいと思っております。

 続いて,総合負荷と1入院期間の診療行為に伴う直接時間の比率,負荷密度の解析結果をお見せいたします。総合負荷を先生方が回答されている1入院期間で医師が介入する所要時間で割った数字を縦方向に病態の分類別に整理しております。左側が中央値で,右側が平均値になり,こちらはSDを入れております。負荷密度の高い順に並べてみると,いちばん上に位置づけられるのは病態9(心筋梗塞)で,次に病態1(重症の脳卒中)になります。このようなものは,例えば1入院期間に医師が10時間くらいの所用時間をかけ,総合負荷が5であると,負荷密度が0.5くらいになるというように算出しています。全体平均で大体,30時間くらいで総合負荷50.167になります。

 今回,基本病態として,咽頭炎の1入院の患者さんを基準に,総合負荷等を回答していただいておりますが,1入院期間に例えば24時間くらい直接時間をかけると総合負荷が1なので,中央値で計算すると0.042になります。まだフレームの検討の域に過ぎず,今後は精緻な議論をしていかなければいけないと思いますが,例えば,負荷密度が0.042の基本病態に対して,値の最も高い心筋梗塞が0.5くらいであるならば,ここで同じ時間という単位を持ってきても,先生方が提供している診療行為の難しさとかエキスの密度が,負荷密度の計算より10倍くらい違うわけですから,簡単に言えば,その分だけ診療報酬を上げる議論を進める切り口になると考えております。

 もちろん,基本病態の時給をいくらにするべきかという話しもあろうかと思いますが,想定されるのは,次のようなイメージであります。例えば,基本病態の咽頭炎の患者さんを時給の低い若い医師が中心となって診るケースに対して,専門医が中心に濃密な診療行為を提供する心筋梗塞の負荷密度が10倍以上であるということであれば,それを基に時間単価を10倍上げる議論があっても良いと推察されます。いわゆる現状の時給単価で抑えられている経済単価の係数を,このような方法で改善することができるのであれば,さらに内科系の技術について網羅的に数字を作くる意義もでてくるはずですし,そのようなエビデンスが構築されると,対外的にもっと説得力が出るのではないかと考えております。

 最後に,独立性の分析を説明いたしますが,要点を申し上げると,1入院期間に色々な診療行為が提供されているなか,ある診療行為が技術としてかなり独立性があるのであれば,診療報酬の中で包括ではなくて単独に評価をすべきかどうか検討することが目的になります。

スライドに示している共分散構造解析とは,多重共線性とか,交絡とか,いわゆる要素相互のノイズを適切にクリーニングしながら,総合負荷をきちっと評価できる診療行為のベストな組み合わせを統計学的または計量数学的に導き出す方法です。一般的に,寄与度を調べる計算にもなりますが,そのベストな組合せを3万通りから選定すると,診断の検査結果の判断,治療方針,治療実践,経過の掌握,予後の見通し,カンファレンスという診療行為の組み合わせは,1入院あたりの総合負荷については非常に良く説明ができて,それぞれの寄与度が高いことになります。その中で,治療実践については,特に他の診療行為に比べて極端に総合負荷に対する寄与が大きいですが,大きいからこそまるめておくという考えがありつつも,それだけ技術的な負荷に占める割合が高いのであれば,逆に,このような診療行為は単独で議論しなければならないという側面もあると思われます。

 一方で,この中から外れているような診療行為−18くらいの診療行為のうち,ここには計算上として寄与が明らで相互の干渉の少ない診療行為の組合せでもっとも良いものだけ集めているわけですが,外れたものが全くトータルの総合負荷に寄与していないわけではなく,基本的には,なにがしかの関係で低いながらも相関関係があり,寄与はしているようです。相関度が低くても,なにがしかの形で医師が提供していて,臨床的な成果を生み出しており,特に1入院や標準患者とは関係ない形の診療の提供の仕方,もしくは技術の提供の仕方があるのであれば,別に議論しなければいけないのではないかと推察しております。そこで,このような独立性の検討などで解析を進めております。特異なケースですが,総合負荷と他の診療行為に比べてあまり関係がないとものとして,確定診断とか,私もこれは理解に悩むのですが,チーム医療とかいうようなものが挙げられます。これらを踏まえつつ,今後は,臨床現場の意見を交えながら数字を作っていき,説明能力の高い形で,関係方面に説明をしていくことが,重要ではないかと思っております。

 また,このように単相関とか平均値,もしくは分散などの基本統計については,既に分析したものがありますので,後で先生方にご覧いただけたらと思っております。

 最後に,工藤先生から頂いたスライドですが,おそらくこれは先生方が短期間でご尽力いただいたことへの感謝の気持ちと理解しています。いただいた非常に多くの想いを無駄にしないよう分析させていただいておりますので,今後ともご指導いただければと思っております。

工藤

 この特定内科診療は,内科系の診療行為,診療の中身は膨大なものですが,その中から112の学会の協議によって最も難しいものとして28疾患に絞り込み,その中身を分析するということで,各学会にさらにご協力をお願いしたわけですが,そのデータ解析の進行と現状をお話しいただきました。特に田倉先生には,総合負荷あるいは負荷の特性,また,総合負荷の密度といった,定量的な考え方を出していただいて,この28疾患の中でさらにそれらの横並びの,これもたくさんの学会が集まっているからこそ横並びの比較ができるわけですが,このようなことが今検討されている,その途中経過を報告をしていただきました。先生方,何かご質問はございますか。

蝶名林直彦(日本呼吸ケア・リハビリテーション学会・聖路加国際病院内科)

今回,COPDの急性増悪についてとりまとめをさせていただきましたが,いま田倉先生のお話しの中で,特に医師の人件費の問題が出ておりましたが,同じ医者が診るに関しても,研修医が診るか,専門医が診るか,あるいは認定医が診るか,あるいは助教授,教授,そういった方々が診るかによって難しい病態では,特に技量や経験が違ってくるという辺りが,非常に難しいと思います。その違いについて,田倉先生の人件費の評価の中にどのように上手く盛り込まれていくのかどうか,教えていただければと思います。

工藤

 田倉先生が冒頭でお話しになったように,アメリカでは,かなり均質の高度な専門医で,どのくらい時間がかかるかというところでやられておりますが,日本の場合は,様々なレベルの医師が診療をしております。そういう実態をどういうふうに均質化していくかという,その辺の評価の方法論について,お話をお願いします。

田倉

 最初に申し上げますと,今回の調査の背景として専門医制度を作れと申し上げているわけではありません。ただし,症例の複雑さと医師の専門性の対応関係を何かの形で分類整理しておかないと説得力のある説明が難しいという印象を持っております。逆に言うと,先生方が診ている病態は,非常に多様性があるということを,この解析をさせていただいてわかりました。さらに,医師が難しいとか,負荷だと思っている部分についても,多様性があることがよくわかりました。一方で,このような内容を,実態の制度や経済の世界に持ち込むためには,最終的に,先ほどから申し上げている経済単価というものに変えることが理想になります。それについては,時間という概念が非常にわかりやすいということで,アメリカも結局,時間を使っております。そこで,時間あたりの支払い額や時間あたりの先生方の提供されている価値というものを対比できないか,という考え方で今回,数字作りを進めております。

 そういう前提において,時間あたりの負荷は10倍くらいのばらつきがあるということですので,この10倍を,先生方が今後どのように対外的に説明し,もしくは要望などの中に,理論やストーリーとして入れていくかというのを,一緒に考えていきたいと思います。例としては,急性期のなかでは比較的軽症なものは負荷密度が低くなりますが,そのような症例は,実態として病院の中では若い医師が診ているのであれば,若い先生方がそれを主体的に診るという基準を前提に,時間単価は多少低くても良いという説明を行うのに,先ほど示した負荷密度を利用することは非常にわかりやすいと推察されます。

一方,非常に複雑な症例については,高いに専門性や能力が必要であって,専門の先生方が主体的に診るということが診療システムとして望まれるのであれば,それを前提にそのような症例を見る医師(チーム)に高い給与を払っていく仕組みを目指すべきかも知れません。その時に説明がやりやすかったら,負荷密度のようなデータの結果を利用すべきと思っております。ただ,このような数字を上手く利用していくために,逆に言うと,先生方のスキル,もしくは経験,もしくは専門性,もしくは領域ごとの専門性みたいなものを,上手くカテゴリー分けする必要があります。

 もうひとつ,いただいた機会ですので申し上げさせていただきます。アメリカで病態分類よりも所用時間で診察の報酬カテゴリーの区分けができた理由に,ある一定の専門レベルの母集団の先生方がやって標準的に何分かかるというエビデンスと合意形成があったことを先に話しをしましたが,医療者選択や患者アクセスなど患者側に係わる周辺機能の存在も忘れてはいけないと考えております。少し視野の広い論点になりますが,そのあたりは,先生方も少し頭の隅に入れて考え理論武装をしていかないと,関係者の間でシステム論として受け入れることはできないのではないかと思っております。

工藤

 他に何かご質問はありますか。

清沢伸幸(日本小児科学会・京都第二赤十字病院医小児科)

私は小児関連委員会の委員長をしております。

田倉先生から,腎臓疾患について極端にはずれたデータがあるということを聞かされていて,きょう初めて実際の数値を見させていただきました。40の回答があったのですよね。それでこの数値ですから,やっぱりそれぞれの診療時間が長いからだったと思います。ただし,特定内科診療の入院期間というのがありますね。それの定義に関して,質問表には一切,記載されていません。一体どのような期間を考えておられるのでしょうか。いわゆる1入院全てを考えておられるのか,あるいは入院期間の一部を考えておられるのか,その辺がわからないために,先天性ネフローゼにおいては,非常に入院期間が長くて,重症の状態が続きますから,こういう結果になったのではないかと私は思います。入院期間については基本的には,僕が聞いている範囲では,DPCの期間ですよね。1か2の期間だったと思いますが違いましたか。

小林

 基本的にはその通りです。要するに特定入院期間というのは,いちばんその労力が必要なものを特定入院期間と言って,想定しているのは一応,DPCの入院期間1ですが,ただ,DPCの入院期間1というのは,改定のたびに動いてしまいますので,それでDPCという言葉をあえて使わず,労力がいちばん必要な期間ということで考えております。

清沢

 そうですよね。その辺について,少し回答者のほうに誤解があったと思います。入院期間をどう捉えるかということで,1入院全てを考えて回答した結果が,小児科のかなり長時間労働しているということにつながったのかなと思っています。もし,次回も調査をされるとしたら,ある程度,期間についてはこの期間ということを示しておかないと,回答者に誤解を生んでしまうのではないかと思います。

田倉

 解析させていただいた印象は,まさに清沢先生がおっしゃった通りです。正直言って,基本病態の負荷密度よりも小さくなるような病態というのは,いわゆる急性期で,比較的,重症で複雑な症例を対象とした今回の調査にないと思っておりました。しかし今回,解析させていただくと,まさに先生方の領域の中にありまして,この方法で議論を進めますと整合性が取れなくなるため,非常に悩ましく思っておりました。考え方としては,今回の負荷と時間による密度を使えるのは急性期で,なおかつ瞬間的に診療価値を提供しているもの,例えば診断や手技などで瞬時に濃密な診療を提供しているものは,このような評価をすると非常にわかりやすいというか,フィットします。しかし,慢性期で比較的,長く見ていらっしゃるようなものは多分,特性が全然違うので,もしかすると数字とか説明の仕方について,ちょっとやり方を変えないといけないと考えております。急性期と慢性期の分け方をきちんと整理しないと,違うものに無理やり当てはめて,変な数字が出てきてしまう危険があるので,そのようなクリーニングも含めて今後,先生方のご検討をいただけたらと思っております。

清沢

 もうひとつは,いわゆる21頁に出てくるような行為の時間のところです。これは対象疾患を置いて,この疾患だったら大体どういう行為が何時間で,どの医師が何分,何時間という形で,疾患ごとに,いわゆる指導医層,レジデント層,研修医層と,それぞれの医師の人数と関わる時間を記入して,それが疾患によってどのように違うかというデータを出すほうが,説得しやすいように僕は思います。指導医が1時間かかる疾患と,指導医が5分くらいで済む疾患があるわけで,ありふれた疾患であれば,指導医にはそれほど時間はかからないと思います。一方,心筋梗塞などの重症の疾患であれば,指導医あるいはもうひとつ上の先生が,責任者が時間を取らなければならにこともあります。ひとつの医師の単位だけではなく,医師の階層ごとに疾患の管理にどの程度の負担がかかっているかということも含めて検討しないと,説得できるようなデータにはならないと思います。ですから,ぜひその辺のことも含めて今後取り組んでいただけるとありがたいと思います。

小林

 今回は,急性でかなり重症な疾患ということでわかりやすくしており,その意味では指導医は当然必要ですし,かなりの医師層がそのような疾患を考えておりますので,慢性疾患では確かに,研修医が診たのか,あるいは専門医が診たのかによって,その質が違ってくるのは確かです。しかし,こういう重篤な急性疾患では当然,専門医あるいは指導医が必要で,チーム全体として捉えており,今後,慢性疾患に移るときには,そういう議論は必要になると思います。

清沢

 結局,急性疾患としても,慢性疾患であっても疾患による医層の時間の違いをきっちりと出しておかないといけません。急性疾患であればあるほど対照と差が生じ易いわけですから,コントロールをとっておけば,非常にわかりやすいデータになると私は思っています。

工藤

 いま出されたように,今回の調査の意図について多少,認識のずれがあったり,まだ提出されていない「病態」もありますが,今回のこの作業は,非常に重要な意味を持っていると思います。そこで,このデータの精緻化というか精密化は,さらに作業をやりながらまとめていかなければいけないと思います。この点を誤解してアンケートに書いてしまったとか,そういうことがもしありましたら,修正しなければいけませんので,そういうことも含めてもう一度,先生方のほうにお願いをすると思います。小林先生,そうですね。そういうことで,ぜひ修正をお願いしたいと思います。

小林

 あと,もうひとつ,コントロールをまたお願いすると思いますが,それは全領域,同じ疾患で考えております。

工藤

 よろしくお願いいたします。他になにかございますか。

高柳哲也(日本神経治療学会)

きょう私,この特定診療と,それから,さっき田倉先生がまとめられたものと,初めて聞いたものですから,偉いショッキングに聞こえました。この調査については,茅野先生が行われた時には,かなり絞って行ったのですが,決して疾患も限られていたわけではなく,なるべく広く調べられたと思います。そのデータがありますから,そういうものを基礎データにして,やはりこの特定診療のところからスタートして,こういう時間とか負荷とかいうところに入っていくのは,はじめから方向づけが一般的ではないのではないか。もっと広く色々な病態を捉えられるようにして,また,色々診療体制も考えながらプログラムを組まないと,かなり偏ったデータしか出てこない。一般化するのは大変なことで,これでもって厚生労働省を説得するなんていうのは,大変なデータ量を出さないと,まとまらないのではないかと,私はそういう印象を持ちましたのでよろしくお願いいたします。

工藤

 齊藤代表からも何かご意見がございますか。

齊藤

 高柳先生のご意見も,まことに正鵠を得た重要なポイントで,実はこの活動が始まる前から,あるいは始まっている計画から,私は繰り返し保険局医療課の担当官,あるいは,先週も保険局医療課の鈴木課長とも面談してまいりました。その中で,とにかく内科系の技術が,診療報酬に適切に反映されていない局面が存在することは明らかだという,そのような認識を次第に深めておられます。ただ,特に若手の担当官などからは,外科系で手術以外のいろいろな手技−診察であれ,問診であれ,説明行為であれ,そういうものを置き去りにして内科系だけでとりまとめるということが,診療報酬体系の整合性としては問題を残すのではないかと。みんな全く初めてなので,手探りのような意見なんです。だから,その意見そのものが妥当かどうかわかりませんが,そういう意見も出されているということがひとつあります。

 同時に,先週,保険局医療課の鈴木課長が言うのは,やはり診療報酬の中で,突出して報酬漏れになっているような大きな負荷のある疾患,これについては,私が全社連グループでやったものでは,劇症肝炎とか,重症急性膵炎とか,そういうのは非常に負荷がかかり,貢献度も高いが,診療報酬の点数から言うと,いちばん低い単純性膀胱炎とか,鉄欠乏性貧血とほとんど変わらない状況で,「これはやっぱり是正しないといけない点でしょうね」というようなことも言っていたので,個別の重点爆撃と,全体を見つめた,特に外科系の手術以外の診療行為の報酬化ということと,いろいろな側面を考えながら進めないといけないことだろうと思っております。

工藤

 これについては私も,議長ではありますが一言申し上げます。現在,この特定内科診療の28疾患というのは,どちらかというと,治療面で内科系医師が大きな力を割かなければなりません。そして,どう考えても手術は出てこないが,内科医が猛烈に頑張らなければならない,そういう急性かつ重症の疾患に絞り込むことで出発しております。一方,治療法は必ずしもまだ確立していなくても,診断が大変難しいとか,そういった内科の分野をどう評価するのかについては残されていると私自身は認識しております。しかし,ひとつの内科系の枠組を手術料と同じようにDPCの枠外で作るという考えで出発しておりますので,出発点としては,これはこれでいいのかなという認識しております。

 もうひとつは,現在,中医協のDPC委員会で,来年度は調整係数というのはなくなりますが,基礎係数というものに置き換わって,そこで病院を3つの群に分けていくという検討がなされております。それで,ひとつの群は特定機能病院ですが,2つ目に高密度医療施設という,特定機能病院以外の施設群を作る方向で動いておりますが,その“高密度”とは何かという議論で,指標の一つとして,“高度の医療”をやっている。そういうのが一つの指標になっております。では,その指標のパラメーターと言いますか,その尺度としては外保連の手術指数,要するに,難しい手術をやっている病院ということであり,内科系の指標はまだ存在しないという認識です。

そのようなことで,特定内科診療は最初の突破口ですが,「難しい」内科系の診療というのは一体何ぞやということを示すワンステップとして,この特定内科診療というものがあると,そういうふうにご理解いただければと思います。非常に限られた病態ではありますが,これをひとつのステップにしたいということでご理解をいただければと考えております。

そこで,これと連動しておりますが,引き続いて,全社連の共同研究のご説明を先にさせていただいて,また総括的にご意見をいただきたいと思います。齊藤代表から,4番目の議題になりますが,「診療報酬における医療技術の評価 報告書」というものが,お手元にあると思います。それのご説明をお願いします。

 

4議案 平成23年度全社連共同研究「診療報酬における医療技術の評価」報告書

齊藤

 これも元を正せば,内保連でのご意見を反映させたものです。私の属している全国51の社会保険病院を統括する組織である全社連というのは,非常に医師たちも反応が速やかで,正確で,集計なども速やかにできるということで,この案ができあがったのは,3月のちょうど地震の後くらいでしたが,それ以後,調査票を送って,最終的にとりまとまったのは9月です。調査書の書式などは,田倉先生それから小林先生にいろいろお力添えをいただいて作りましたが,最終的なとりまとめはもう最終段階で,私が独断と偏見でやってしまいましたので,厳密さとか,統計学的な処理の問題とか,そういうことについては問題が多々あろうかと思います。

ただ,そういういろいろな切り口を作っては,厚生労働省とか中医協とか,そういうところに投げかけて,その反応を見て,それに対応してまたこちらの体制を組む。そういうことも非常に重要です。何年もかけて立派なものを作ったけど,「これは私たちの期待とはずれています」と一言,言われると,そこでまた何年間の空白が流れるということで,ひとつは厚生労働省,中医協側とのピンポンのようなやり取りが,これからこの領域には重要ではないかなという気がいたします。

 1頁に班員の名前が書いてありますが,小林先生,工藤先生,田倉先生,そして外保連代表の山口先生にも入っていただき,スタートした研究であります。

イメージは,前に先生方にスライドなどでお見せしたことがありますが,4頁のところに,医療技術というのは,たくさん内科系も外科系もありますが,本当に評価されているのは,手術と若干の検査・処置だけで,それ以外は評価漏れのような格好で,波の下に置かれていると。そういうことで,内科系の技術というのはほとんど,評価の対象になっていないのではないでしょうかという,それがもとであります。

 その理由は,6頁にありますが,「DPC評価方式の現状」という,これは厚生労働省がいつも出してくる,包括評価するものと出来高評価するものは,このように分けられますというふうに,包括評価は,入院基本料,検査,画像検査云々。出来高評価は,手術,麻酔。「それでは,これを統括する共通点はなんですか?」と言うと,「包括評価は物です。出来高評価は技術です」と,そういうふうにはっきりと厚生労働省の担当官は言います。「それでは内科系の技術というのは,ほとんど見えないではありませんか」ということになったのが原因であります。

 9頁にありますが,全社連のグループには,内科系および外科系の医師が合わせて1119名おります。回収率が62%で,内科系370,外科系が340と,ほとんど内科・外科で同数の調査になりました。こういう格好を取ったのは,厚生労働省に手術以外の技術と言ったときに,「外科の人を置いてきぼりにしていいんですか?」とねじ込まれたので,それのひとつの対応ということと,将来は,内保連も一部,外保連とブリッジングしないといけない部分があるのかなということも考えて,内科も外科も合わせた調査にしたものです。

 10頁を見ていただきますと,いまの診療報酬でいちばん下の図ですが,技術が適切に評価されているでしょうかということで,「適切ではない」「あまり適切ではない」というのが,全体で6割を越えているといことで,現場の医者たちも,あまり適切に評価されているとは感じていないわけです。

どういうところが評価されていないかというと,12頁にありますが,医者や患者への説明なんていうのは,内科系も外科系も全然評価されていないじゃありませんか。鑑別診断などということも,ほとんど評価が不十分ですということで,これについては特に内科系で多く見られます。

 そういうことを踏まえて,全社連で定点観測を行っています。92の疾患について,とにかく頻度の高いものからICDコードにしたがって取りまして,「その中で診療報酬漏れの大きいと思うものを5つまで選んで回答してください」と訊ねました。その結果が14頁です。内科と外科を合わせますと,イレウスというのがいちばん多いですね。それから肺炎,胃の悪性腫瘍,肝癌,重症急性膵炎,急性心不全,そこら辺が30から40も集まってきています。ただ,内科系と外科系では若干違いまして,内科系では肺炎とか急性心不全などが多く,外科系ではイレウスや胃の悪性腫瘍などが多いということで,採択される疾病は内科系と外科系で若干の差があります。

 その上で,ここに今度は,横長のA3の非常に細かい図になって申し訳ないのですが,15頁に84の疾患が…これについて92聞いたのですが,5つ以上回答があったものを選ぶと84になったので,その84疾患を並べてあります。最後に,総合負荷貢献度というのを,その病気について回答した医師たちに訊ねて,それがかなり重要な指標で,この調査のポイントですが,その順に並べてあります。

そうすると,総合負荷貢献度がいちばん大きいのは劇症肝炎です。これは内科も外科も混ぜたままです。それから重症急性膵炎,急性心筋梗塞,ARDS,急性白血病といったところが総合負荷貢献度が高くて,低いのは逆に下のほうで,突発性難聴とか,下痢胃腸炎,鉄欠乏性貧血,単純性膀胱炎,こういったような病気の羅列ができました。

 「この診療に携わるのに経験年数の下限はどのくらい必要でしょうか」ということを訊ねますと,劇症肝炎は6.86年必要であろうということですが,逆に単純性膀胱炎は2.44くらいあればいいということです。総合負荷貢献度というのは5点満点で,重症劇症肝炎は4.81,単純性膀胱炎は1.56ということで,3点が標準です。これは,入院の1週間に病棟で1日あたり過ごす,まあ,大雑把に言えばDPCの入院期間1ですけれども,そのときに劇症肝炎が8時間はいるということですが,単純性膀胱炎は2.4時間しかいないと。

 診療行為別の負荷をそれぞれの疾患について全部聞いています。問診から始まって同意の取得まで,いろいろ書いてあります。そして診療全体の負荷というのも,それとは別に書いてもらっていますが,やはり劇症肝炎は4.89と非常に高いと。それから,行為特性別の負荷で,心理的な負荷とか,精神的な負荷とか,時間的拘束とか,そういうことも書いてもらっております。それぞれ統計を取れば,ほとんど高く相関するような指標になっています。

それから,患者にどのくらい役に立っているかという患者への貢献は,たとえば劇症肝炎では,救命的な貢献というのは4.95で,ほとんど5点満点に近いものになっています。非常に患者の命を救う上で大きな役割をしていると思うということですね。2番目の重症急性膵炎も4.80で非常に高い。平均しても患者への貢献は4.36とか4.53とか,高い値が得られています。それらを踏まえて総合貢献というのがありまして,総合貢献と総合負荷を合わせて,「総合負荷貢献度をいくつにしますか」と聞いて書いてもらったのが,この1番左側のカーブの劇症肝炎が4.81というような数字であります。

 そういうふうにして,いろいろな平均値の相関などを図に示してありますが,主立ったところだけをピックアップさせていただきます。たとえば,22頁ですね。「個別の診療行為の負荷の平均値と患者への貢献」ということで,負荷と貢献の平均値はどんな関係になっているかというと,非常に密な正の相関で,しかも,回帰線が原点の近くを通るということで,比例関係が負荷や貢献にしっかり出ているようです。

寄与度というのも計算してありますが,これは本質からはちょっとずれますので。

 それから,診療の条件ですね。どういうものを対象にするかということで,劇症肝炎はこれこれ,重症急性膵炎はこれこれといったことも,先生方に書いてもらいました。それも上位40疾患くらいについては一応,書き出してあります。37頁ですが,たとえば,劇症肝炎はたいへん骨が折れますと。では一体,診療報酬でどういうものがどういうふうに実際に病院に支払われるのか。それが,37頁から38頁にありますが,いちばん多いのは,これは今年の1月に32名の劇症肝炎で退院した患者ですが,入院基本料がいちばん高いんですね。それに一般加算とか,地域加算とか,療養加算とか,延々と加算などがあるわけです。退院時のリハビリとか,注射とか,ドレナージ,酸素といろいろありますが,実際に劇症肝炎を1日8時間担当して苦労している医師の精神的・肉体的負担というのは,一体どこに反映されているのかということが見えてこないわけですね。そこへいくと手術は非常に,手術の点数ということで鮮明なわけです。これを先週の金曜日,保険局医療課の鈴木課長に見せて,「これはちょっとおかしいのではありませんか」と言ったら,「確かにこういうものを個別に取り上げて攻めるという方法は,あり得る手だてだ」と,そういうふうに言っておりました。急性膵炎とか急性心筋梗塞なんかも,実際の診療報酬の内訳が書いてありますが,そんなことです。

 そういうことで,DPCの点数をどういうふうに考えたときに,この総合負荷貢献度とDPCの点数はどういう関係になっているかというのが,54頁にあります。縦軸にDPCの点数を取って,横軸に総合負荷貢献度を取りますと,確かに,申し訳程度に相関があることは事実です。相関があるということは,それなりに何か反映しているらしいと。だけども,DPCの点数が非常に狭い領域に圧縮されているのに,負荷貢献度のほうは,幅広いところに分布して,非常に大きな負荷を示す劇症肝炎の治療も,簡単と言ってはなんですが,負荷の低い鉄欠乏性貧血や単純性膀胱炎も,点数にしてみれば似たりよったりだと。それが,いまの診療報酬の概略だろうと思います。ですから,総合負荷貢献度を分布で見ますと,49頁のところにありますが,50を中心値としますと,左側に裾野のある分布ですが,DPCの分布はそれなりに,50を中心にした何か正規分布に近いような形で,総合負荷貢献度,医者が受けている負荷,あるいは患者への貢献と,実際にDPCでいただいているものとの間には,大きな差があるようだと。

そういうことを見た上で,ここからはさらに独断と偏見のある試算で,ご批判は覚悟の上で行いましたが,1日あたりの病棟活動時間というものを書いてもらいました。それから,1日の活動時間。大体24歳から28歳の医師の給与月額というのが,人事院の調査ですと71万円で,これを均しますと時間給4000円となりますが,負荷・貢献度を,3を1にして,それ以上を1以上,それ以下を1以下で調整して,掛け算して作ったのが,58頁の表です。劇症肝炎であれば,1日あたりの点数は5300点,5万3000円を技術料として付けるのが妥当だろうと。いちばん下の単純性膀胱炎は443点で,4400円を技術料として付けるのが妥当だろうと。

これは,批判を呼び起こすための叩き台のようなことで,これを内保連の見解として一人歩きさせるつもりは毛頭ありませんし,いまはいろんなものが一人歩きさせ得る環境にはないですね。どういうものを出しても必ず叩かれてつぶされていきますから。けれども,それをいろいろ工夫していく中のひとつのプロセスとして作ったのが,この冊子であるということで,この中身は実は,明日11月1日の社会保険旬報の巻頭論文に載りますので,そこにはもう少し解説的に書いてありますから,興味のある方はぜひご覧いただきたいと思います。

工藤

 先ほどの特定内科診療と連動しておりますが,この全社連の共同研究について,いまのご説明に,何かご質問,ご意見等ありますか。いずれにせよ,内保連としてのデータの蓄積がありませんと,次のステップに進めないということがありますので,そういう意味では,これは内保連が直にやったものではありませんが,非常に重要な資料ではあろうかと思います。

それでは,先ほどの特定内科診療について,先ほども申し上げましたが,また改めてさらに解析のためのデータを正確にしていくために細部に関するアンケートがまた出されると思いますのでよろしくお願いいたします。

中瀬浩史(日本神経学会・大森赤十字病院)

いまおっしゃった人件費4,000円という時の計算の仕方ですが,その方にかかる費用は単純な人件費だけでは当然ないわけです。まずこのような技能の高い方が勤務時間中,本当の診療行為に何時間,関わっておられるのかという補正を付けていただかないといけないと思います。大学の先生方ですと,診療に振り分けられている時間はものすごく少ないですし,一般の病院においても実際の勤務時間の中で何時間病棟あるいは外来に出ていられているのか。病院にとって経営する側にとって収入になることをやってくれているのか。この点で言えば収入になる業務をやってくれてはおりません。そうすると,診療1時間あたりの給与というのは,もっと高い額を払っている計算になりますので,そういう意味でのタイムスタディーをやって,給与には補正をかけて欲しいと思います。

齊藤

 この問題を出したときも,保険局医療課長のところに工藤先生と行ったときでしたが,この表を見せたら,「タイムスタディーをやっていませんね」と言われたんです。ところが現実には,たとえば若い担当医1人とっても,病棟にいるときに同時に何人もの患者を診療しているわけですね。一方では劇症肝炎を診て,もう一方では急性心筋梗塞を診ていると。そういうときに,仮にストップウォッチを持った人がタイムスタディーの場に居合わせたとしても,内科病棟における診療行為というものは,タイムスタディーに馴染むのかなという深い疑念を抱いているわけですが,何かその辺でお考えはお有りでしょうか。

中瀬

 私が申し上げたのは,大きな意味で診療に関わっている,収入になることに関係している時間と,そうではない時間がかなりあると思います。例えば部下の教育をやるであるとか,調整をやるとか,色々なことを行っているわけですね。その時間は直接収入にはならないので,単純に国家公務員医師の給与表から引用されると低い額になってしまうのではないかと思います。

齊藤

 それも前から非常に内科系の場合には問題があって,外科系の場合は,手術の時間というのが,始まりと終わりが非常にクリアカットで,何分までほとんど全ての手術の点数表について書いてあるわけです。しかし,内科系の場合は,いろいろな調査であるとか,相談であるとか,そういうことでファジネスがついてまわるんですね。その辺もむしろ,こういうふうにするのがいいのではないかというご提言などをお出しいただけると,今後の調査として有効だと思います。そういう意味もあって,今回はかなり強引な格好でこういうものを出したわけですが,タイムスタディーの具体的なあり方とか,収益との関わりとか,たいへんいま貴重なご意見をご指摘いただいたと思っています。

工藤

 この点はいちばん難しいところで,これはクリアしなければならない課題だと思います。手術料の場合は,一つの手術に要した時間ははっきりしておりますし,人件費関係でも医師が何名,ナースが何名とカウントは容易ですが,それに対して,内科の重症疾患について,コメディカルの部分をどのようにカウントするかとか,時間についても,病棟ですと医師が患者1人しか受け持っていないということはありませんので,どういう方法論で精緻化するのか遥かに難しいです。今回の全社連で行われた調査は一応,28歳くらいの,いわゆる後期研修医くらいの賃金で出されているようですが,これもひとつの試みだろうと思います。この辺が,まさにこれから議論をしなければならないと思います。

齊藤

 これについては,どれも批判されれば批判の数は尽きないんです。ですから,ご批判ももちろん大歓迎ですが,ここはこうしたら良いのではないかという建設的なご提言をぜひお願いします。小林先生や田倉先生がやっていらっしゃる調査にも,いろいろそういった問題が出てくると思いますが,ここはかなり手探りの部分が少なくありませんので,建設的なご提言を内保連としてはお願いしたいと思っています。

清澤

 時間に関して,内科系の場合,診療に関わっているだけが労働している時間ではないと思います。教育していることもひとつの重要な時間ですので,その部分も含めて計算すべきなので,いま先生が言われたように,全てお金に換算されるものだけが診療時間ではないと私は思っています。

中瀬

 先生を雇う時に,雇うお金が十分にあるのかどうかが大事なことです。半分の時間を除いたところで収益を上げなければいけない。そうすると,その時間分に凝縮した形で人件費として分配してくれないと,医師を雇えないわけです。

清澤

いわゆる何もしない時間,特に小児科なんかはそういうところが多いんですが,待機している時間も含めて計算していかないと,単に純粋な診療時間だけで取ってしまうと当然,先生が言われたように,いわゆる人件費で雇う…診療できないわけです。たとえば,心筋梗塞であれば,何人かの人間で24時間の監視体制を作ると当然,待機時間が長く発生してくるわけです。それゆえ,そういった時間も含めて計算していかなければなりません。そこが内科と外科の手術との大きな違いだと僕は思っています。

工藤

 いまお話がありましたように,ぜひ内保連の事務局のほうにメールででも,ご意見を寄せていただければと思います。メールアドレスはもうおわかりかと思いますが,杉山さんの名前で皆さんのところに行っていますよね。そちらに寄せていただければと思います。

 

5議案 生体検査に関する提言

 @生体検査に関する提言(資料5-1)
 A生体検査提言図表(表1〜表4を使用)(資料5-2)

生体検査に関する提言を,検査関連委員会の委員長の米山先生からお願いいたします。

米山彰子検査関連委員会委員長

 検査関連委員会では昨年来,生体検査の診療報酬の見直しを求めたいということで,生体検査ワーキンググループを作って活動してまいりました。この度,その結果として提言書を取りまとめ,来年の診療報酬改定に間に合うタイミングで,10月上旬に厚生労働省に提言書を提出してまいりました。ここには,その主立ったところを資料として載せておりますので,簡単にご説明します。

これにつきましては,関連の先生方,とりわけワーキンググループの各領域のリーダー,サブリーダーをお務めいただき,取りまとめにご協力いただいた先生方,それから調査にご協力いただいた各学会の先生方に,厚くお礼を申し上げます。

資料では23頁からになります。24頁から見ていただきますと,今回行いましたことは,生体検査の臨床的価値,それからコスト,その2つを勘案して,現在の診療報酬が適当ではないと思われるものについて,改善をお願いするというものです。生体検査につきましては,医師が関わる部分もありますし,それ以外のコメディカルがある程度,人手と時間をかけて行っていることもありまして,診療報酬が,コストあるいは重要性に見合わないものがたくさんあると思います。

 そこで今回は,臨床的価値をまず評価することを考えました。ワーキンググループは,循環器,神経,精神,呼吸器,それから消化器,その4つに分かれまして,今回の調査に消化器はご参加いただけませんでしたが,それ以外の3つの領域について,診療報酬が付いている生体検査の項目の価値をまず評価していただきました。なかなか価値の評価というのは難しいものですが,3つの観点から,臨床的な有用性,検査の難易度,専門性,実施者への負荷,先ほどのお話しとも関連してまいりますが,医療スタッフの拘束時間,それらをざっくり,a,b,cの3段階で評価をしていただき,それをもとに総合点を求めました。そして,領域別にそれぞれの総合評価を,それもとにA,B,C,Dということで決めていただきました。

 A,B,C,Dの意味づけといたしましては,A評価は,有用性が高い。これは増点を希望したいということで,26項目,18.7%が挙がってまいりました。Bは,有用性がある。現状点数を維持。Cは,有用性がやや低い。これは減点をしてもよろしい。Dに関しては,これは古くなった検査で,いまあまり使われない検査もありますので,有用性が乏しい。廃止をしてもよろしいということで,ご覧のようなパーセンテージのものが挙がってきております。A評価になりました増点を希望するものは,表の1:25頁に挙がっております。さらに,その次の頁にC評価のもの,D評価のものが27頁の表3に上がっております。それ以外はB評価ということで,現状維持で良いという評価になりました。

 続きまして,A評価のものについて,では実際にどれくらいの点数を要望するかということで,コスト調査を行いました。コスト調査の方法につきましては,24頁から28頁に書いてありますが,実際,一定のやり方でコストを計算するための簡単なソフトウェアをご協力施設に配布し,それに入力していただく形でコストを求めました。先ほどらい問題になっております人件費ですが,今回は国家公務員給与の概要を参考にしております。結果的に,36施設−大学病院23,一般病院13ということでご協力をいただきました。そして,検査件数の多い病院,少ない病院とありますので,総平均ということでコストを求めました。コストの結果は,29頁の表4に載っております。

 それをもとに,「V」のところにありますように,増点の提案をいたしました。この調査が,先生方の学会から内保連を通じた提案書の作成の時期と重なっておりましたので,各学会でこれを参考にして点数の要望を出されたところもあると思います。もっと高い点数が必要だというご判断で,これよりも高い点数で出されたところもあろうかと思いますが,検査関連委員会からの提言書としては,このコスト調査をもとにした点数を提案しております。

 このような内容で厚生労働省に持ってまいりましたが,おおむね理解してもらえまして,今後このようなことを継続的にやっていくと良いというアドバイスをいただきました。またその際に,先ほどの価値の評価のところで,有用性,負荷等に関して,基準をもう少しはっきりさせたほうが良いというご指摘もいただきまして,これについては今後,改善していきたいと思っております。

今回,このような提言書を出すことができましたので,なんとかこれが来年度の診療報酬改定に少しでも反映されれば良いと願っております。また,その次の改定に向けて,さらに続けていきたいと思いますので,先生方には引き続き,ご支援ご協力をよろしくお願いいたします。

工藤

 ここにあげられている項目は,基本的には既収載のものですよね。

米山

 既収載です。

工藤

 いまのご報告について,何かご質問はありますか。厚生労働省の保険局医療課も,基本的には,学会からの提言,意見をいちばん重視する。そこのところは大体,担当の方々の本音のようです。もちろん,それが必ずしも通らない場合もあるわけですが,考え方としては,学会の提言を重視されていると思います。

何か質問がございますか。

水野杏一(日本循環器学会・日本医科大学)

 このような生体検査に関して,コスト等々また色々な負荷を調査して,厚生労働省に申請していただいたことは非常に良いと思います。

ちょっとお聞きしたいのは,表1と25頁と28頁の3ですが,増点の提案数が違うのはどうしてでしょうか。

米山

 A評価となりましたものの一部について,コスト調査をした上で増点の要望をしたような形になりました。これは生体検査の各領域のワーキンググループで,A評価になったものの中でどれを選ぶのか決めていただいております。ですから,コスト調査の難しさ,容易さといったこともあるかも知れませんし,臨床的な評価ということも加味されたかと思いますが,これは各領域のワーキンググループの総意ということです。

水野

 28頁の項目は,もう提案したということでよろしいのでしょうか。

米山

 内保連の生体検査関連委員会として提案しましたのは,28頁のVにあります点数が,最終的にお願いした点数になります。

 

5議案 今後の活動について

今後の活動について,齊藤代表からお願いいたします。

齊藤

 今後の活動と言いましても,新たなことが発生しているわけではなくて,前回も申し上げましたが,内保連の活動は通年の活動になっております。ただ,特に重点的に通年として行われるのはやはり,先ほど小林先生と田倉先生からご報告があった調査でありまして,これからまたいろいろな形で先生方の学会に依頼が行くと思いますので,できるだけ速やかに,そして完璧な形でご返事をいただくことが,内保連としての要望を強化する大きな礎になると思います。

 先ほど私から説明した全社連の報告もあるのですが,こういうものをマスコミあるいは厚生労働省に見せますと,「ところで内保連のほうはどういうふうになっていきますか」と必ず聞かれます。私たち全社連のスタディーも,一種の露払いというか,地ならし的な作業,あるいは問題点の検出の作業であって,本番は,横綱はこれから出てくるということで,それが内保連の小林委員会の活動だと思っておりますので,各学会の先生方もぜひ技術評価については,お力添えいただきたいと思います。

 それから,もうすでに平成26年度の改定に向けての絞り込みも先生方の念頭では進めていただいて,その要望書の作成の仕方とか,資料の集め方とか,できるだけ簡潔に,しかしインパクトの高い格好でまとめることが,要望を診療報酬の改定に反映させる大きな礎になることは間違いないと思います。そして,もちろん24年度の改定は,これから最終的な絞り込みが行われてまいりまして,来年の2月上旬くらいには,ほぼ形が整ってまいりますので,内保連からもいくつかの委員会に何人かの先生が出ておられますが,そういう方々を通じて,的確に情報を受け取り,また,そういう先生方にお願いしていく形になるだろうと思っております。

 それから,三保連というのが,ご承知のように,外保連,内保連,看保連でやっておりまして,今年は外保連の担当です。いまのところ,1220日という大分押し迫った時期ですが,外保連の主催で開催されることが予定されております。細かいことが正式に決まりましたら,内保連のホームページにも載りますので,もし可能であれば,先生方もぜひご参加いただきたいと思います。今年の三保連のテーマも,「診療報酬における医療技術の評価」という,今年度のテーマと言っても良いようなものが,メインテーマに採択されておりますので,その点もお含みおきください。

工藤

以上で準備したものが終わりますが,その他,この際,何かご発言はございますか。もしないようでしたら,これで閉じさせていただきますが,次回の110回の例会は,会計関係の決算等々,非常に重要な議題がございます。

1月24日火曜日,5時30分から,この東海大学の校友会館で行う予定ですので,予定に入れていただければと思います。

それでは,長い時間,ありがとうございました。